【日テレジータス】国内メジャー中継にみる女子ゴルフ放映権争奪戦とCS再成長の兆し
放送はスカパー!やJ:COM、ひかりTVなど多面的に提供され、時間帯別の再放送も組まれています。
【ディンコの一言】国内女子ゴルフの看板メジャーをCSが“全日ライブ”で押さえたことは、衛星放送ビジネスの再活性を映す象徴的な動きです。
女子ゴルフは世界的に配信プラットフォーム争いが激化しており、米国ではNBC/Golf ChannelとSky Sportsが4大メジャーを分担、ESPN+が特集組を独占配信するマルチレイヤー型モデルが定着しています。今月のシェブロン選手権でもテレビとストリーミングのハイブリッド編成が採られました。
日本でも放映権の売り方が急速にデジタルシフトしています。JLPGAツアーは25年からU-NEXTが独占ライブ配信を獲得し、従来のDAZNは撤退。ネット事業者が「年間権利+サブライセンス」を握る構図が進み、若年層の視聴タッチポイントが地上波からOTTへ移る流れが顕在化しました。
他方、WOWOWもLPGA全米ツアーを生中継し、衛星×配信の二層展開でブランドを維持しています。WOWOW こうした群雄割拠の中で、日テレジータスが国内メジャーを確保した意味は二つ。①地上波が編成上扱いにくい長時間中継枠をCSが肩代わりし、選手露出とスポンサー価値を最大化できる。②CS契約世帯のARPUが高く、熱量の高いファン向けに付加価値コンテンツ(選手別カメラ、データ連動QR企画など)を展開しやすい点です。
文化面では、日本女子ゴルフは“シブコ旋風”以降10〜20代女性ファンを呼び込み、ツアー動員が急増。チケット完売が常態化した今、テレビ・配信でいかにエンゲージメントを広げるかが次の成長ドライバーになります。
将来的には、JLPGAと民放・OTTが「ホール別マルチ視点配信」や「個人スポンサー連動EC」を組み込むことで、米LPGA並みのインタラクティブ視聴体験が主流になるでしょう。その過程でCSは“高画質・長時間・専門解説”のプレミアムハブとして差別化を図り、OTTはサブ視点と短尺クリップでリーチを稼ぐ——そんなハイブリッド構造へ収斂すると見ています。
課題は権利料の高騰と視聴者のサブスク疲れ。大会単体で黒字化するビジネスモデルを描くには、ゴルフ用品・金融・富裕層向け旅行など、高LTVスポンサーとの連携による新収益スキームが不可欠です。日テレジータスが今回のメジャー中継でどこまでデジタル連動企画を打ち出せるかが、CS再成長の試金石となるでしょう。
コメント
コメントを投稿