名古屋の民放9社、人権と危機管理を合同研修で学ぶ
【ディンコの一言】
放送業界における「ビジネスと人権」への関心は、もはや一過性のテーマではない。名古屋の民放9社が一堂に会し、危機管理と人権リスクに真正面から向き合う姿勢は、地域メディアのガバナンス強化の象徴とも言える。特にBtoCビジネスとして、視聴者の信頼をどう維持するかが今後の分かれ道だ。
2025年5月30日、名古屋地区の民放テレビ・ラジオ9社(CBCテレビ、中京テレビ、テレビ愛知、東海テレビ、メ~テレ、エフエム愛知、CBCラジオ、ZIP-FM、東海ラジオ)が、「ビジネスと人権」をテーマとした合同コンプライアンス研修を開催した。会場は中京テレビ放送で、対面とオンラインを併用し、約480名の役職員が参加した。
第1部では、森・濱田松本法律事務所の弁護士2名が登壇。「人権問題を自分ごととしてとらえるには時間がかかるが、役員や管理職の意識改革が鍵」と述べ、放送局の社内制度と実効性のギャップに警鐘を鳴らした。
第2部では、上智大学教授の音好宏氏が「フジテレビ問題」を題材に講演。「放送局は自主・自律を保ちながら、自浄能力と報道機関としての使命を両立させるべき」と指摘。組織としての変革が求められる中で、メディアがいかに人権を尊重し続けられるかという本質的な問いが投げかけられた。
この研修は、放送局がBtoC業界として視聴者の信頼をどう担保するかという問いに対し、実務レベルでの対応策を共有・討議する貴重な機会となった。今後も継続的に実施する意向が示されており、地域の放送ガバナンス強化に資する取り組みといえる。
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