【VIPO】支援作『ChaO』25年アヌシー審査員賞
【ディンコの一言】
アヌシーでの主要賞獲得は、日本アニメの“前売り保証”として最高の肩書き。STUDIO4℃の映像美に、VIPO×経産省のマーケット導線が合致した結果、公開前から配信権争奪戦が過熱必至。秒単位のマルチフォーマット展開を仕込めるかが、今後のテレビ局・配信事業者の腕の見せ所だ。
今年6月8〜14日に開催された仏アヌシー国際アニメーション映画祭2025で、STUDIO4℃の長編アニメ『ChaO』(監督:青木康浩)が長編コンペティション部門の審査員賞を受賞した。VIPOは経済産業省の海外展開支援事業を通じ、企画ピッチからローカライズ、国際マーケット出展までを伴走支援。国家プロジェクト発のIPが世界最高峰のアニメ映画祭で実績を上げた格好だ。
『ChaO』は「人間と人魚が共生する近未来社会」を舞台に、造船会社員ステファンと人魚王国の王女チャオの“電撃婚”から始まるロマンティック・コメディ。鮮烈な色彩と水中表現で知られるSTUDIO4℃がジャンル横断の恋愛劇を描き上げる。北米配給権はGKIDSが取得、日本公開は8月15日(東映配給)予定で、ワールドプレミアは今回のアヌシーだった。
製作委員会はMETI補助金「JLOX+」を活用し、英語・仏語版制作やカンヌ「Spotlight Asia」、TIFFCOMへの連続出展を実施。Annecy上映直後には欧州配給交渉が活性化し、VIPOは「開発・資金・マーケ・フェス」を一気通貫で支援する国際展開モデルが機能したと総括した。今後はデイ&デイト配信も視野に入れ、世界同時プロモーションが加速する見通しだ。
テレビ局にとっては、映画公開前から国際賞・SNSバズが保証されたIPが出現したことで、劇場公開連動の特番や短尺スピンオフ、FASTチャンネル用クリップなどクロスメディア施策を即時展開しやすい。海外向け素材が揃っている点もバイヤーへの“即決”を後押しする。
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