【TBSホールディングス】配信広告が55.5%増の快進撃、テレビ局の新時代到来か
【ディンコの一言】
TBSの第1四半期決算を見て、正直「やられた」と思いました。配信広告収入が前年同期比55.5%増の30億円超えって、これまでの地上波一辺倒からの脱却が本格化している証拠です。特にTVerを軸とした戦略が功を奏していて、従来の「テレビ局は斜陽産業」という固定観念を覆しつつある。ただし、この成長が持続可能なのか、そして他局との差別化をどう図るのかが今後の勝負どころでしょうね。
「テレビ局ってもう終わりなの?」——そんな声をよく聞くようになって久しいですが、TBSホールディングスの2025年8月7日発表の第1四半期決算を見ると、その答えは明らかに「NO」でした。
特筆すべきは配信広告収入の急成長です。前年同期比55.5%増の30億7,300万円という数字は、単なる"おまけ"の領域を完全に超えています。これは従来の地上波広告収入に匹敵する規模感で、業界の構造変化を如実に示しているんです。
数字が語る変革の実態
具体的な内訳を見てみましょう。TBSテレビ部門の第1四半期売上高は547億9,400万円(前年同期比8.0%増)でしたが、その内訳がまさに革命的です:
- タイム収入:203億1,300万円(前年同期比0.1%増)
- スポット収入:223億5,000万円(同14.5%増)
- 配信広告収入:30億7,300万円(同55.5%増)
- 有料配信収入:29億円(同9.1%増)
ここで面白いのは、スポット収入が14.5%増と好調な一方で、タイム収入がほぼ横ばいという点。これって実は、広告主の行動変化を表しています。レギュラー番組への投資は慎重になりつつも、効果の測りやすいスポット広告や、より精緻にターゲティングできる配信広告に予算を振り分けているわけです。
TVerという"打ち出の小槌"の威力
でも、ちょっと待ってください。この配信広告収入の55.5%増って、本当に持続可能なんでしょうか?
実際、総務省の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、動画配信サービスの利用率は10代で94.4%、20代で89.1%に達しています。つまり若年層はもはやリアルタイムでテレビを見ない世代なんです。
TBSが力を入れているTVerは、2023年4月時点で月間利用者数が約1,500万人を突破。これは在京キー局全体での数字ですが、TBSのコンテンツ力を考えれば相当なシェアを占めているはずです。
海外事例から見る日本の特殊性
興味深いのは、アメリカではNetflixやHuluなどの有料配信が主流なのに対し、日本ではTVerのような無料配信プラットフォームが圧倒的に支持されている点です。これは「テレビは無料で見るもの」という日本人の根深い意識の表れでしょう。
実際、アメリカの大手ネットワークABCの親会社ディズニーは、2019年にDisney+を立ち上げて有料配信に本腰を入れましたが、TBSの戦略はむしろ「無料だけど広告収入でマネタイズ」という日本独特のアプローチを貫いています。
課題は山積み、でも希望も見える
もちろん課題もあります。ライフスタイル事業セグメントは減収減益(売上高223億円、営業利益1億3,100万円)で、やる気スイッチグループの人件費増加が響いています。多角化戦略の難しさが如実に現れていますね。
それでも、メディア・コンテンツ事業の営業利益が前年同期比59.5%増の59億8,700万円という数字は素晴らしい。これは単なる偶然ではなく、デジタル化への対応が実を結んだ結果でしょう。
今後の展望:テレビ局は生き残れるか?
結論から言えば、TBSの戦略は他局にとって大きな脅威になります。なぜなら:
- コンテンツ制作力:ドラマ「VIVANT」のような話題作を生み出せる力
- 配信プラットフォーム戦略:TVerでの存在感
- 広告営業力:デジタル広告への対応力
これら3つが揃っているからです。
特に配信広告収入の成長率55.5%は、業界全体の新陳代謝を促す触媒になるでしょう。「うちも負けてられない」と他局が追随すれば、結果的に業界全体のデジタル化が加速します。
ただし、この成長がいつまで続くかは未知数です。配信広告市場も最終的には成熟するでしょうし、その時にTBSがどんな次の一手を打つのか——それが真の勝負どころになるはずです。
テレビ局の未来は決して暗くない。むしろTBSが示したように、変化を恐れずに新しい収益源を開拓する局こそが、次の10年を制するのかもしれませんね。
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