【バンダイナムコ】ガンダムのNY戦略から読み解くIPグローバル化の未来
【ディンコの一言】
IPの海外展開において、単なる翻訳や商品販売にとどまらず、都市全体を巻き込む「体験型」イベントへと進化させている点が注目に値します。これは、デジタルとリアルを融合した新しいファンエンゲージメントの形であり、今後のIPビジネスのデファクトスタンダードとなる可能性を秘めています。
米国最大のポップカルチャーイベント、ニューヨーク・コミコン2025において、「機動戦士ガンダム」が大規模なイベントを展開し、大きな話題となっています。単一のパネルイベントに留まらず、市内各所での映画祭、ポップアップストア、さらにはラッピングバスまで登場させるという、都市を巻き込んだ「ガンダム一色」のプロモーションが展開されたのです。
この動きは、バンダイナムコフィルムワークスが掲げる「グローバルでのIP展開」を象徴するものです。背景には、特に北米市場でのIP認知度をさらに高めたいという明確な狙いがあります。近年、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が海外の配信プラットフォームで成功を収め、新たなファン層を獲得するなど、海外展開は順調に進んでいます。バンダイナムコグループ全体の海外売上比率も、仕向地ベースで40%を超えており、長期目標として50%以上を目指しています。
今回のNYCCでの大規模な展開は、単なるPRを超えた、ファンとの「共創」を促すための試みと言えるでしょう。ガンプラワークショップや、イベント限定グッズの販売はもちろんのこと、特筆すべきは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の10周年記念パネルで声優陣が登壇し、ファンと直接対話する機会が設けられたことです。このような「ライブ」な交流は、ファンコミュニティをより強固なものにし、熱量を高める上で不可欠な要素です。
日本国内では、すでに「ガンダムメタバースプロジェクト」として、オンライン上でのファン交流やガンプラバトルが展開されています。今回のNYCCの事例は、このオンラインでの「共創」を、物理的な都市空間へと拡張する試みと捉えることができます。オンラインとオフラインをシームレスに連携させることで、IPの体験価値を最大化し、既存ファンだけでなく、新たな層を巻き込んでいく戦略が見て取れます。今後、同様の都市連動型イベントが世界各地で展開される可能性があり、IPビジネスの新たな地平を切り開くことになるでしょう。
関連リンク
GUNDAM.INFO: https://en.gundam.info/
ニューヨーク・コミコン2025: https://www.newyorkcomiccon.com/
コメント
コメントを投稿