【WOWOW】テレビ局のECは「テレビ通販」ではない
【ディンコの一言】
WOWOWが開始した「WOWOW百貨店」は、既存のテレビ通販とは一線を画す、新しい形のエンタメECです。放送コンテンツとECを連動させることで、映像体験から生まれた熱量を直接的な購買行動につなげる。これは、視聴率や広告収入に依存してきたテレビ局のビジネスモデルを変革する可能性を秘めています。
WOWOWが、エンターテインメントに特化したECサイト「WOWOW百貨店」(
この事業の背景には、テレビ局の収益構造の多様化という大きな流れがあります。従来の放送・配信事業に加え、コンテンツの力を活用した新たなマネタイズが求められているのです。WOWOWは、映画やスポーツ、音楽、オリジナルドラマなど、質の高いコンテンツを強みとしています。この「WOWOW百貨店」は、映像で感動した体験を「モノ」として形にし、ユーザーの生活に取り入れることを目指しています。
具体的な商品として、映画『スター・ウォーズ』のライトセーバーや、マイク・タイソンのサイン入りグローブなどが並んでいます。これは、テレビ通販で一般的な食品や健康グッズとは全く異なるラインナップです。ファンコミュニティの熱量とECを組み合わせるこの手法は、既にエンタメ業界では進んでおり、例えば2022年の国内VTuber市場規模520億円のうち、50%以上がグッズによる収益となっています。
米国では、テレビ局や配信事業者が「Tコマース(テレビとEコマースの融合)」と呼ばれる、テレビ画面から直接商品を購入できるショッパブル広告に力を入れています。Rokuと小売大手Walmartが提携し、リモコンの「OK」ボタンを押すだけで購入が完了するシステムを導入した事例はその代表例です。日本の多くのテレビ局ECが番組で紹介した商品を販売するスタイルであるのに対し、WOWOW百貨店は「放送コンテンツの余韻をモノにする」という独自の体験設計に特化しています。これは、テレビ局が単なる「商品を紹介するメディア」から、「物語を消費者に届ける体験提供者」へと進化する、重要な一歩と言えるでしょう。今後の動向に注目が集まります。
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