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VIPO×釜山APM、日本映画を世界へ!

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【ディンコの一言】 日本映画の国際展開において、戦略的なパートナーシップがますます重要性を増しています。 特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)は、アジアを代表する釜山国際映画祭併設のコンテンツマーケット「ACFM」内の企画マーケット「APM(Asian Project Market)」と連携し、「VIPO Film Award」を授与したことを発表しました。このアワードは、日本の有望な映画企画が国際的な共同製作や配給へと繋がるよう、具体的な支援を提供するものです。受賞した「Wake Me up When the Mourning Ends」企画は、APMというアジアを代表する企画マーケットで注目を集め、国際的なプロデューサーや投資家とのマッチング機会を創出します。 国内の主要映画祭に併設されるコンテンツマーケット(例:TIFFCOMのTokyo Gap-Financing Market (TGFM))が海外からのバイヤー誘致に力を入れ、アジア要素を含む企画を日本で紹介する一方、 本提携は日本の企画を海外の権威ある企画マーケットに直接送り込み、国際共同製作への道を切り拓く点で画期的なアプローチと言えます。日本国内での支援が主となるケースが多い中、国際舞台での直接的なゲートウェイを設けることは、資金調達やネットワーク構築において非常に有効です。 この戦略は、国内市場の限界を超え、世界市場で存在感を示すための極めて現実的な一手です。単に海外へ紹介するだけでなく、実績ある国際企画マーケットに日本のプロジェクトを組み込むことで、より具体的な成果へと繋がるでしょう。これは日本映画界が国際化を本気で推進する上での、重要なモデルケースとなるはずです。  

【フジテレビ】「学校かくれんぼ」が世界へ!日本のバラエティの新潮流

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【ディンコの一言】 フジテレビ『新しいカギ』の人気企画「学校かくれんぼ」が、デンマークの大手制作会社Strong社とオプション契約を締結しました。これは、日本のバラエティが世界市場で通用するコンテンツとして認められたことを示しています。既存の枠組みに囚われない、参加型かつSNSとの親和性の高い企画は、海外でも新たなムーブメントを起こす可能性を秘めているでしょう。 フジテレビが、国際映像コンテンツ見本市「MIPCOM 2025」において、バラエティ番組『新しいカギ』の人気企画「学校かくれんぼ」の海外フォーマット販売に向けたオプション契約を、デンマークの制作会社Strong社と締結したと発表しました。このニュースは、日本のテレビ業界にとって非常に大きな意味を持っています。なぜなら、日本のバラエティ番組が、欧米の主要な制作会社から**フォーマット(番組の企画・構成)**として高い評価を受けたことを意味するからです。 これまで日本のバラエティ番組で海外展開に成功した事例としては、TBSの『SASUKE』や、フジテレビの『料理の鉄人』などが知られています。しかし、これらは身体能力を競うスポーツ系や料理対決といった、言葉の壁が比較的低いジャンルでした。一方、「学校かくれんぼ」は、学校という舞台を使い、芸能人と生徒が一緒になって「かくれんぼ」をするという、日本の文化的背景やコミュニティ性が色濃く反映された企画です。 この契約は、日本のバラエティ番組が持つ「共感性」と「参加型」の要素が、グローバルな視聴者にも受け入れられる可能性を示しています。特に「学校かくれんぼ」は、SNSでの関連動画再生回数が数千万回を超えるなど、若年層からの熱い支持を得ています。これは、単に番組を視聴するだけでなく、自らが参加したり、SNSで共有したりする「ユーザー生成コンテンツ(UGC)」としての魅力を兼ね備えているからです。日本のテレビ局がコンテンツビジネスで世界に打って出るための重要なヒントとなるでしょう。  

【WOWOW】テレビ局のECは「テレビ通販」ではない

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【ディンコの一言】  WOWOWが開始した「WOWOW百貨店」は、既存のテレビ通販とは一線を画す、新しい形のエンタメECです。放送コンテンツとECを連動させることで、映像体験から生まれた熱量を直接的な購買行動につなげる。これは、視聴率や広告収入に依存してきたテレビ局のビジネスモデルを変革する可能性を秘めています。 WOWOWが、エンターテインメントに特化したECサイト「WOWOW百貨店」( https://dept.wowow.co.jp/ )をグランドオープンしました。これは単なるテレビ局の通販サイトではありません。「人生を楽しむ大人のための百貨店」をコンセプトに、「あなたの暮らしに物語を」というキャッチコピーを掲げています。 この事業の背景には、テレビ局の収益構造の多様化という大きな流れがあります。従来の放送・配信事業に加え、コンテンツの力を活用した新たなマネタイズが求められているのです。WOWOWは、映画やスポーツ、音楽、オリジナルドラマなど、質の高いコンテンツを強みとしています。この「WOWOW百貨店」は、映像で感動した体験を「モノ」として形にし、ユーザーの生活に取り入れることを目指しています。 具体的な商品として、映画『スター・ウォーズ』のライトセーバーや、マイク・タイソンのサイン入りグローブなどが並んでいます。これは、テレビ通販で一般的な食品や健康グッズとは全く異なるラインナップです。ファンコミュニティの熱量とECを組み合わせるこの手法は、既にエンタメ業界では進んでおり、例えば2022年の国内VTuber市場規模520億円のうち、50%以上がグッズによる収益となっています。 米国では、テレビ局や配信事業者が「 Tコマース(テレビとEコマースの融合) 」と呼ばれる、テレビ画面から直接商品を購入できるショッパブル広告に力を入れています。Rokuと小売大手Walmartが提携し、リモコンの「OK」ボタンを押すだけで購入が完了するシステムを導入した事例はその代表例です。日本の多くのテレビ局ECが番組で紹介した商品を販売するスタイルであるのに対し、WOWOW百貨店は「放送コンテンツの余韻をモノにする」という独自の体験設計に特化しています。これは、テレビ局が単なる「商品を紹介するメディア」から、「 物語を消費者に届ける体験提供者 」へと進化する、重要な一歩と...

Omdiaが予測、短尺ドラマが2025年に世界で1.5兆円市場へ

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  【ディンコの一言】 モバイルシフトが加速する現代において、短尺ドラマの急成長は必然の流れです。特に、従来の動画広告ではなく、サブスクリプションや課金で収益を上げている点が注目に値します。これは、視聴者が本当に価値あるコンテンツには対価を支払うという、新たな消費行動の兆候を示しています。 モバイル時代が生んだ新たな動画コンテンツ 米調査会社Omdiaは、短尺ドラマ(マイクロドラマ)が2025年までに世界で110億ドル(約1.5兆円)の収益を生み出すとの予測を発表しました。これは、無料広告付きストリーミングテレビ(FAST)の予測収益58億ドルを大きく上回るもので、モバイル時代における動画コンテンツのあり方を再定義する動きとして注目されています。 TikTokなどの成功が生んだ新ジャンル 短尺ドラマは、1話あたり2~3分で構成される連載形式の物語であり、ソーシャルメディアの手軽さとテレビドラマの物語性を兼ね備えたフォーマットです。TikTokやYouTube Shortsといった短尺動画プラットフォームの普及により、人々のコンテンツ消費行動は大きく変化しました。このトレンドを捉え、ユーザーのスキマ時間をターゲットにした短尺ドラマが急成長を遂げています。 高収益モデルと日本市場の可能性 この市場の最大の特長は、収益化モデルにあります。収益の60%以上が、無料期間後のサブスクリプションや都度課金によって生み出されており、ユーザー1人あたりの平均収益(ARPU)が月額80ドルに達するケースもあると指摘されています。 市場を牽引しているのは中国で、世界の収益の83%を占めていますが、国際市場では米国がトップで、日本、韓国、英国、タイがそれに続きます。すでに日本でも、若年層を中心にアプリを通じて短尺ドラマを視聴する習慣が芽生え始めています。 日本のクリエイターに与える影響 短尺ドラマの台頭は、日本のクリエイターにとって大きなチャンスです。テレビの常識にとらわれない柔軟な制作スタイルは、新しい才能が台頭する土壌となります。また、テレビ制作会社や大手スタジオも、この新たな市場に参入することで、既存のコンテンツを再編集・活用したり、新しいIPを開発したりする道が開けるでしょう。 今後は、日本のクリエイターや制作会社がこのトレンドにどう乗り、どのような物語を短尺ドラマとして生...

NHKが新業務規程を公表、教養番組のネット配信を拡充

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【ディンコの一言】 この変更は単なるサービス追加ではなく、公共放送のデジタル戦略の新たな一歩と捉えることができます。多岐にわたる教養コンテンツをインターネットで体系的に提供することで、視聴者の多様な学習ニーズに応えるだけでなく、情報過多なデジタル空間における「信頼できる情報源」としての存在感を高める狙いが見えます。 公共放送のデジタル戦略に新たな動き 日本放送協会(NHK)は、放送法の改正に伴い必須業務となった「番組関連情報の配信」に関する業務規程を変更し、2026年度から新たに教養番組に関する番組関連情報の配信を行うことを発表しました。この変更は、デジタル化が進む現代において、公共放送がどのようにその役割を果たしていくかを示す重要な一歩です。特に、信頼性の高い教養コンテンツをインターネット上で広く提供することは、情報が氾濫する社会において大きな意味を持ちます。 デジタル時代に対応する公共放送 今回の規程変更は、2025年10月1日の放送法改正により、番組関連情報の配信が必須業務に位置づけられたことを受けています 。NHKは、この新たな義務を果たすために業務規程を定め、教養番組のコンテンツをインターネットでさらに充実させる方針を打ち出しました 。これにより、視聴者はいつでもどこでも、自分のペースで学習できる機会を得ることができます 。 体系的な情報提供と長期配信 新しい規程では、歴史、自然、戦争と平和といった教養分野の番組コンテンツを、インターネットの特性を活かした形で提供することが明記されています 。具体的には、一つのテーマに対して、関連する番組の動画クリップやテキスト、地図、年表などを組み合わせて体系的に参照できるように工夫されます 。また、これらの情報は放送番組の配信期間を超えて長期的に公開されるため、ユーザーは必要なときにいつでも情報を繰り返し参照できます 。 この取り組みは、海外の公共放送機関の動向とも共通しています。例えば、英国のBBCは教育コンテンツのデジタル化に力を入れており、学習者が特定のトピックについて深く掘り下げられるよう、番組の補助資料をオンラインで提供しています。NHKも同様に、正確で信頼できる情報を体系的に提供することで、情報の偏りや不確実性が指摘されるインターネット空間において、視聴者の「よりどころ」となることを目指しています 。 コン...

フジテレビWEPs署名:コンテンツと経営、メディア変革の試金石

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  フジテレビジョンが「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」に署名したというニュースは、単なる企業のCSR活動報告に留まらない、メディア業界全体、ひいては社会の「空気」を形成する上で極めて重要な一歩と捉えるべきでしょう。 今回の署名発表(2025年10月3日付)は、フジテレビが今年4月に設立したサステナビリティ経営委員会におけるWEPsの理念学習と経営課題としての深化を経てのものです。国連グローバル・コンパクトとUN Womenが策定したこの原則は、職場、市場、そして地域社会におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント推進のための7つの指針から成り立っています。発足から14年が経過し、世界190カ国以上で11,000を超える企業が署名しているWEPsですが、日本の主要なテレビ局が名乗りを上げたことの意味は大きい。これは、メディア企業が自らの公共性と社会的責任を改めて自覚し、ESG経営におけるジェンダー平等を中核に据えるという明確な意思表示に他なりません。 メディアコンテンツとジェンダー表現の変革 深掘りすべきテーマは多岐にわたります。まず第一に、「メディアコンテンツとジェンダー表現の変革」です。フジテレビは「社会に求められるコンテンツの提供」と「安心して働くことのできる職場の実現」を並列で掲げています。これは、WEPsの精神が単なる社内規定に終わらず、その企業が世に送り出すコンテンツ、つまり番組や報道にも明確に反映されるべきである、という強いコミットメントだと解釈できます。 現在の日本のメディアコンテンツにおけるジェンダー表現は、伝統的な性役割の描写から多様性の模索へと変化の途上にありますが、依然として課題が多く残されています。女性がバラエティ番組で「番組の花」として扱われたり、感想を述べる補助的な役割を担う一方で、男性は専門家や解説者、主人公など多様な役割を演じることが多いのが実情です。広告においても、「お母さん食堂」のような名称や「私、作る人。僕、食べる人」といった旧来の性別役割分業を強調する表現が過去には批判を浴び、「女性は運転が苦手」という先入観に基づいたトヨタのツイートや、性的描写の強い「萌えキャラ」が公共のポスターに使われたことで「ジェンダー炎上」を招いた事例は枚挙にいとまがありません。こうした炎上の背景には、メディア内部のジェンダーバラン...

【バンダイナムコ】ガンダムのNY戦略から読み解くIPグローバル化の未来

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  【ディンコの一言】 IPの海外展開において、単なる翻訳や商品販売にとどまらず、都市全体を巻き込む「体験型」イベントへと進化させている点が注目に値します。これは、デジタルとリアルを融合した新しいファンエンゲージメントの形であり、今後のIPビジネスのデファクトスタンダードとなる可能性を秘めています。 米国最大のポップカルチャーイベント、ニューヨーク・コミコン2025において、「機動戦士ガンダム」が大規模なイベントを展開し、大きな話題となっています。単一のパネルイベントに留まらず、市内各所での映画祭、ポップアップストア、さらにはラッピングバスまで登場させるという、都市を巻き込んだ「ガンダム一色」のプロモーションが展開されたのです。 この動きは、バンダイナムコフィルムワークスが掲げる「グローバルでのIP展開」を象徴するものです。背景には、特に北米市場でのIP認知度をさらに高めたいという明確な狙いがあります。近年、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が海外の配信プラットフォームで成功を収め、新たなファン層を獲得するなど、海外展開は順調に進んでいます。バンダイナムコグループ全体の海外売上比率も、仕向地ベースで40%を超えており、長期目標として50%以上を目指しています。 今回のNYCCでの大規模な展開は、単なるPRを超えた、ファンとの「共創」を促すための試みと言えるでしょう。ガンプラワークショップや、イベント限定グッズの販売はもちろんのこと、特筆すべきは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の10周年記念パネルで声優陣が登壇し、ファンと直接対話する機会が設けられたことです。このような「ライブ」な交流は、ファンコミュニティをより強固なものにし、熱量を高める上で不可欠な要素です。 日本国内では、すでに「ガンダムメタバースプロジェクト」として、オンライン上でのファン交流やガンプラバトルが展開されています。今回のNYCCの事例は、このオンラインでの「共創」を、物理的な都市空間へと拡張する試みと捉えることができます。オンラインとオフラインをシームレスに連携させることで、IPの体験価値を最大化し、既存ファンだけでなく、新たな層を巻き込んでいく戦略が見て取れます。今後、同様の都市連動型イベントが世界各地で展開される可能性があり、IPビジネスの新たな地平を切り開くことになるでしょう。...