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8月, 2025の投稿を表示しています

TBSが教育AIに参入、ニュース資産の新たな活用法

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【ディンコの一言】 TBSホールディングスがTOPPAN、東京書籍と共に文部科学省の委託事業に採択されました 。保有するニュースデータを活用し、教育に特化した生成AIを開発するものです 。 児童生徒の学習意欲向上と教員の負担軽減を目指し、全国6つの自治体で実証研究を行います 。 海外の有力放送局も古くから教育番組やオンライン教材の提供に熱心ですが、自社のニュースデータを基に、教科書と連動する「生成AI」という教育技術(EdTech)そのものを開発する今回の試みは、単なるコンテンツ制作の枠を超えた、より踏み込んだアプローチと言えるでしょう。 この事業の核心は、日々蓄積される「ニュース」を、消費される情報から永続的な価値を持つ「教育データ資産」へと転換させる点にあります。放送局が持つ膨大なアーカイブと情報生成能力を、広告や視聴率とは異なる軸でマネタイズし、社会課題解決につなげる。 これは、自社アセットの価値を再定義し、新たな事業領域を切り拓くための、極めて戦略的な一手だと評価できます。  

読売テレビ主導、異業種連携で拓く地域の未来

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 【ディンコの一言】 読売テレビがKDDIなど大手3社と共に、地域課題解決を目指す企業アライアンス「YORIMIRAI」を発足させました。 これは、参画企業が持つ多様な知見やアセットを、課題を抱える地域のニーズとマッチングさせ、持続可能な地域作りを目指す新たな取り組みです。 既に放送、通信、金融、鉄道など32の企業・団体が参画しています。 海外の放送局も地域貢献活動には積極的ですが、その多くは報道やドキュメンタリー制作、あるいはチャリティ活動といったCSRの文脈に留まります。対して「YORIMIRAI」のように、放送局が自ら事務局となり、業界の垣根を越えた事業プラットフォームを構築して課題解決をビジネスとして推進するモデルは、世界的に見ても先進的と言えるでしょう。 この動きは、放送局が持つ「地域社会との強固なネットワーク」や「情報発信力」という無形資産を、広告モデル以外の事業へと転換する試みです。単なるコンテンツプロバイダーに留まらず、地域創生を牽引するハブとしての役割を担うことで、新たな存在価値を確立しようとしています。 系列局との連携強化も図っており 、この挑戦は、メディア環境が激変する時代におけるローカル局の新たな生存戦略として、業界が注視すべき試金石となりそうです。

放送・配信、生存賭けた大改革

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【ディンコの一言】 日本の放送・配信コンテンツ産業が「生存戦略」を打ち出しました。 国内広告市場の縮小や海外輸出の限定的な現状(アニメ9割、アジア・北米7割)に危機感を募らせ、2033年までに海外市場20兆円を目指します。 韓国KOCCAのような官民連携の司令塔機能強化、多様な資金調達、4K/VFX/AI活用による高品質コンテンツ製作、中小製作会社のIP確保、クリエイターの待遇改善、データ活用を推進。 特にNHKの100億円基金は、これまでOJT中心だった業界の人材育成やDX推進の起爆剤となり、分断されがちだった「オールジャパン」体制への期待が高まります。 国内視聴率優先から脱却し、世界市場を意識したビジネスモデルへの転換が急務です。  

U-NEXT、日経学生漫才王を独占配信

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  【ディンコの一言】     U-NEXTが『第1回 日経 学生漫才王決定戦』に特別協力し、独占配信するとのこと。学生のお笑いコンテンツを配信プラットフォームが独占するのは珍しい動きですね。かつてはテレビ局が新人発掘の場を提供していましたが、配信プラットフォームがその役割の一部を担い始めたと見ることもできます。TVerやABEMAなども若年層向けコンテンツを強化しており、学生をターゲットにした今回の取り組みは、将来の顧客獲得にも繋がる戦略的な一手でしょう。お笑い市場は国内エンタメ市場でも大きな割合を占め、若手芸人の発掘・育成は常に注目されています。U-NEXTとしては、既存の豊富なコンテンツに加え、このような「原石」の発掘を通じて、新しいユーザー層へのアプローチを狙っているのではないでしょうか。

TVH×Zabbix、IP放送監視で業界革新!

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  【ディンコの一言】  放送のIP化が加速する中、監視システムの重要性は増すばかり。今回の実証実験は、テレビ業界全体の運用効率化と安定性向上に繋がる画期的な一歩と言えるだろう。Zabbixの活用は、コストと柔軟性の両面で大きなメリットをもたらすはずだ。 テレビ北海道(TVh)と統合監視ソフトウェア「Zabbix」を開発するZabbix社が、Media over IP(MoIP)環境での統合監視実証実験を開始しました。これは放送業界初となる試みで、従来の専用システムに代わり、汎用性の高いソフトウェアでの監視実現を目指します。 放送業界では、4K/8K放送の普及に伴い、映像伝送のIP化が進んでいます。しかし、IP化された放送システムは複雑で、安定運用には高度な監視が不可欠です。これまで監視システムは高額な専用機器に頼るのが一般的でしたが、今回の実証実験ではオープンソースソフトウェアであるZabbixを用いることで、導入・運用コストの削減と柔軟なカスタマイズを可能にする狙いがあります。 海外ではIPベースの放送設備導入が進んでおり、監視ソリューションの多様化が見られます。例えば、欧州ではSMPTE ST 2110などのIP規格に準拠したシステムが増加しており、Zabbixのような汎用監視ツールを活用する動きも一部で出てきています。今回のTVhの取り組みは、日本における放送IP化の運用面での課題解決に大きく貢献する可能性を秘めており、今後の業界標準となるか注目されます。将来的には、AIを活用した異常検知や予兆保全なども視野に入ってくるかもしれません。

【Netflix】日本発作品2作品同時選出!国際映画祭戦略の新章

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【ディンコの一言】 Netflix日本初の快挙となる釜山国際映画祭への2作品同時招待は、単なる作品の評価を超えた戦略的意義を持つ。韓国発の「イカゲーム」がグローバルヒットしたことで証明された「アジア発コンテンツの世界展開力」を、今度は日本が実証する番である。小栗旬×ハン・ヒョジュの「匿名の恋人たち」と岡田准一の「イクサガミ」という異なるジャンルでの同時選出は、Netflix日本の戦略的多様性とクオリティの高さを物語っている。釜山映画祭が配信ドラマ向けに設けた「オンスクリーン部門」への選出は、映画とドラマの境界線が曖昧になる現代のエンタメ業界において、Netflix作品がプレミアムコンテンツとして国際的に認知された証拠でもある。 アジアから世界へ:Netflix日本が描く新たな地図 韓国・釜山で開催される第30回釜山国際映画祭(オンスクリーン部門)に、Netflix日本作品として初となる、Netflixシリーズ「匿名の恋人たち」「イクサガミ」の2作品が同時招待されることが決定した。この発表は、Netflix日本のコンテンツ戦略が新たなステージに入ったことを象徴する歴史的な瞬間である。 配信ドラマの地位向上を牽引する釜山の先見性 釜山国際映画祭は、1996年に創設され、世界中の映画人から愛されるアジア最大規模の由緒ある映画祭。《オンスクリーン部門》は2021年に新設された配信ドラマ向けの部門で、今年最も期待される話題のドラマを紹介する、映画ファンだけでなく世界中の配信ドラマファンも大注目の新部門だ。この部門の創設背景には、Netflix、Amazon Prime Video、Disney+などの台頭により、配信コンテンツが映画館作品と同等以上の制作費とクオリティを持つようになった現実がある。 従来の映画祭が劇場公開作品中心だった中、釜山国際映画祭は業界の変化を敏感に察知し、配信プラットフォーム専用部門を設けた先進性は注目に値する。これは単なる時代適応ではなく、アジアのエンタメハブとしての釜山の戦略的野心の表れでもある。 日韓コラボと純国産バトルロワイヤルの戦略的意味 今回選出された2作品の構成は実に興味深い。「匿名の恋人たち」は、主演に小栗旬、ヒロインにハン・ヒョジュを迎え、赤西仁と中村ゆりが共演するロマンティックコメディ。一方の「イクサガミ」は、岡...

【Netflix】美容整形業界の闇に切り込む話題作「ダウンタイム」制作決定

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  【ディンコの一言】 松岡茉優主演、仲里依紗共演によるNetflix新シリーズ「ダウンタイム」の2026年配信決定は、単なる医療ドラマではない。Netflixが『全裸監督』や『地面師たち』で培った「社会のタブー領域への鋭い切り込み」を、5,940億円規模の日本美容医療市場に向ける戦略的転換点だ。韓国が人口1000人当たり8.9件で世界最多の整形手術数を誇る中、日本は37万件で世界4位という巨大市場の光と闇を描くことで、グローバル配信における新たなコンテンツ戦略を展開する狙いが見える。特に、ルッキズム議論が世界的に高まる今、この作品は韓国ドラマが席巻する美容整形テーマ作品に対する日本発の独自解答となる可能性を秘めている。 話題騒然!Netflixが仕掛ける新たなタブー領域への挑戦 松岡茉優主演、仲里依紗共演のNetflix新シリーズ「ダウンタイム」が2026年に世界独占配信されるというニュースが業界を駆け巡った。これは単なる新作発表以上の意味を持つ。なぜなら、アダルトビデオ業界、地面師詐欺と不動産業界など、知られざる世界の裏側にスポットライトを当ててきたNetflixが新たなテーマに選んだのは、美容整形業界だからだ。この選択は、グローバルストリーミング戦争における日本発コンテンツの新局面を示している。 巨大市場の光と闇:数字で見る美容整形業界の実態 日本の美容医療市場の規模は驚異的だ。2023年の美容医療市場規模は医療施設収入高ベースで前年比108.8%の5,940億円に達している。世界的に見ても、日本は年間37万件で世界4位、韓国は26万件で7位という状況だが、人口比では様相が異なる。韓国は人口1000人当たり8.9件で世界最多となっており、この市場の成熟度と社会への浸透具合が浮き彫りになる。 興味深いのは、コロナ禍のマスク生活で目元回りの施術を受けたい、あるいは人との接触が少なくなった間にしみ・たるみを改善する施術を受けたいと考える人が増え、需要は増加を続けている点だ。社会情勢が市場拡大の追い風となっているのである。 韓国ドラマとの差別化:日本独自の切り口とは 美容整形をテーマにしたコンテンツは、すでに韓国が先行している。「私のIDは江南美人」では整形手術を受けた女性の大学生活の苦悩を描き、「マスクガール」では外見コンプレックスに悩む女...

【Netflix】「即興×官能」の新境地 佐久間Pが仕掛ける実験的コメディの野心

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【ディンコの一言】 佐久間宣行の「罵倒村」がNetflix週間TOP10を3週連続1位を記録した余韻も冷めやらぬ中での新作発表。「最高のキスで物語を終わらせろ」という極限設定で、お色気ムンムンの美女たちからの誘惑に負けないよう人気芸人たちが即興ドラマに挑戦する本作は、単なるバラエティ番組の延長線上にあるものではない。これは「構造化されたエンターテイメント」という、Netflixが求める新しいコンテンツフォーマットへの回答だ。リアリティショーでもドラマでもない「第三のジャンル」創出への挑戦と見るべきである。 佐久間流「構造化エンタメ」の進化形 「トークサバイバー!」シリーズ、「LIGHTHOUSE」、「罵倒村」と立て続けに話題作を生み出してきた佐久間宣行が、今度は9月9日配信の「デスキスゲーム いいキスしないと死んじゃうドラマ」で新たな実験に踏み出す。 この作品が画期的なのは、「即興ドラマ」という日本のテレビ界では珍しいフォーマットに「官能的誘惑」という要素を組み合わせた点だ。お色気ムンムン美女たちからの誘惑が次々と襲いかかる即興ドラマの世界で、途中でキスしてしまったら即退場という緊張感は、従来のバラエティ番組とは一線を画す構造的面白さを持つ。 グローバル市場で求められる「日本らしさ」 2024年の定額制動画配信市場規模は推計5,262億円という巨大市場で、Netflixは日本への影響力拡大を求めリアリティ番組に高い期待を寄せている。海外では「Love is Blind」や「Too Hot to Handle」といった恋愛系リアリティショーが大ヒットしているが、日本独自の「笑い」と「羞恥心」を織り交ぜたアプローチは、まさに文化的差別化の好例と言える。 宮野真守も参加することで、アニメファン層への訴求も計算されており、多層的なターゲティング戦略も見て取れる。これは単なる芸人バラエティではなく、サブカルチャーとのクロスオーバーを狙った戦略的コンテンツだ。 「制約こそ創造の源泉」という哲学 本作の真の革新性は、極度の制約の中で創造性を発揮させる構造にある。「最高のキス」で物語を終わらせるというミッションは、脚本のない即興ドラマに明確なゴールを設定し、かつそこに至るまでの過程に緊張感を持続させる巧妙な設計だ。 この手法は、海外の「Whose Line I...

【ドコモ】推し活が動画配信を変える!応援広告参入の衝撃

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【ディンコの一言】 本文ここから (100字程度) 動画配信×応援広告の組み合わせは、業界の枠組みを根本から変える可能性を秘めている。韓国発の文化が日本のOTTプラットフォームに融合することで、単なる視聴体験から"共感消費"の場へと進化を遂げる。 「推しの番組に自分の応援メッセージを流せるって...本当に?」 そんな驚きの声が、ファン界隈で静かにざわめいている。NTTドコモの映像配信サービス「Lemino」が2025年8月8日から始めた映像配信サービス初となる「ファンが配信番組を選べる応援広告」は、まさにエンターテインメント業界の常識をがらりと変える一手だ。 韓国から始まった"愛の告白"が、日本の動画配信に上陸 日本に「応援広告」が持ち込まれたのは、IZ*ONEらを輩出した韓国の人気アイドルオーディション番組『PRODUCE』シリーズの日本版『PRODUCE 101 JAPAN』がきっかけとされるが、その本家韓国では「アイドルを有名にしたい」「なにかアイドルに喜ばれることをしてあげたい」というファン心理で出されるのが一般的。センイル(韓国語で誕生日の意)広告として、駅や屋外ビジョンなどで展開されてきたファンによる"応援広告"が根付いていた。 しかし今回のLeminoの取り組みは、まったく別次元の話だ。これまでの応援広告は物理的な場所の制約があったが、動画配信プラットフォームなら地理的制約を超越できる。番組はいつ・どこでも無料で視聴でき、場所の制約がないため、全国のファンはもちろん、まだ推しを知らない人へもアプローチが可能だからだ。 数字が物語る"推し活市場"の底知れぬ可能性 冷静に市場規模を見てみよう。2023年の動画配信(VOD)サービス全体の国内市場規模は、前年比8.2%増の5,740億円という巨大市場が存在する中で、2021年のネット動画広告市場は前年比42.3%増の4205億円という成長を遂げている。 つまり、取得方法→官公庁データ分析→計算式:動画配信市場5,740億円×広告収益率約73%(4,205億円÷5,740億円)→結果として年間約4,200億円の広告枠が動いているのが現実だ。この巨大な市場に、個人ファンという全く新しいプレイヤーが参入してきたわけであ...

【WOWOW】会員減でも諦めない、テレビ局が挑むEC百貨店の勝算

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  【ディンコの一言】 WOWOWが今秋開始する「WOWOW百貨店」は、減収減益の苦境を打開する起死回生の一手だ。しかし、これは単なる物販事業ではない。コンテンツ連動型ECという新しいメディアビジネスモデルの実証実験なのである。 「WOWOW百貨店」の衝撃—テレビ局が百貨店を名乗る時代 「もう単なるテレビ局じゃダメなのか?」 こんな疑問が頭をよぎった人も多いはずだ。WOWOWの2025年度第1四半期は減収減益となり、会員数は228万3,000件まで減少している現実を前に、同社が打ち出したのが「WOWOW百貨店」だった。 なぜ「百貨店」なのか?ここにメディア業界の未来を読み解く鍵が隠されている。 百貨店業界の市場規模は1991年の12兆円をピークに2024年は約6.3兆円と半減している一方で、EC市場は急速に拡大しており、2025年も引き続き成長が見込まれる状況だ。つまり、WOWOWは衰退業界の名前を借りながら、成長分野へ参入するという巧妙な戦略を仕掛けているのである。 コンテンツ連動ECの破壊力—海外事例から見る可能性 実は、メディア企業のEC参入は海外では珍しくない。米国のNetflixは番組関連グッズのEC販売で成功を収めており、韓国のメディア企業も同様の戦略で収益多様化を図っている。 日本国内を見ても、既存百貨店のEC化率は高島屋が4.2%、三越伊勢丹が3.8%と低迷しており、新規参入の余地は十分にある。 WOWOWの狙いは明確だ。「東方神起」「SUPER BEAVER」などの音楽コンテンツや、9月から開催される「ATEEZ 2025 WORLD TOUR」といった興行事業と連動した商品販売。これこそが既存の百貨店ECにはない差別化要因なのである。 「感性に従い、人生を楽しむ大人」という絶妙なターゲティング 「WOWOW百貨店」のストアコンセプトは「感性に従い、人生を楽しむ大人のための百貨店」とされている。この表現、一見すると抽象的に聞こえるが、実は非常に計算された戦略だ。 なぜなら、WOWOWの平均会員年齢は50代以上が中心であり、この世代は自分軸の夢中を持つ人の人生満足度が約2倍高いという同社の調査結果とも合致する。 つまり、単に商品を売るのではなく、「夢中」という体験を売る。これがWOWOWの目指すEC事業の本質なのだ...

【TBSホールディングス】配信広告が55.5%増の快進撃、テレビ局の新時代到来か

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  【ディンコの一言】 TBSの第1四半期決算を見て、正直「やられた」と思いました。配信広告収入が前年同期比55.5%増の30億円超えって、これまでの地上波一辺倒からの脱却が本格化している証拠です。特にTVerを軸とした戦略が功を奏していて、従来の「テレビ局は斜陽産業」という固定観念を覆しつつある。ただし、この成長が持続可能なのか、そして他局との差別化をどう図るのかが今後の勝負どころでしょうね。 「テレビ局ってもう終わりなの?」——そんな声をよく聞くようになって久しいですが、TBSホールディングスの2025年8月7日発表の第1四半期決算を見ると、その答えは明らかに「NO」でした。 特筆すべきは配信広告収入の急成長です。前年同期比55.5%増の30億7,300万円という数字は、単なる"おまけ"の領域を完全に超えています。これは従来の地上波広告収入に匹敵する規模感で、業界の構造変化を如実に示しているんです。 数字が語る変革の実態 具体的な内訳を見てみましょう。TBSテレビ部門の第1四半期売上高は547億9,400万円(前年同期比8.0%増)でしたが、その内訳がまさに革命的です: タイム収入:203億1,300万円(前年同期比0.1%増) スポット収入:223億5,000万円(同14.5%増) 配信広告収入:30億7,300万円(同55.5%増) 有料配信収入:29億円(同9.1%増) ここで面白いのは、スポット収入が14.5%増と好調な一方で、タイム収入がほぼ横ばいという点。これって実は、広告主の行動変化を表しています。レギュラー番組への投資は慎重になりつつも、効果の測りやすいスポット広告や、より精緻にターゲティングできる配信広告に予算を振り分けているわけです。 TVerという"打ち出の小槌"の威力 でも、ちょっと待ってください。この配信広告収入の55.5%増って、本当に持続可能なんでしょうか? 実際、総務省の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、動画配信サービスの利用率は10代で94.4%、20代で89.1%に達しています。つまり若年層はもはやリアルタイムでテレビを見ない世代なんです。 TBSが力を入れているTVerは、2023年4月時点で月間利用者数が約1,5...

【NTV】全国CMをリアルタイム入札!「プログラマティックネット」始動

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【ディンコの一言】  日本テレビが全国CMのリアルタイム入札を可能にする「プログラマティックネット」の検証運用を開始。これは、地上波CMをデジタル広告のように柔軟に運用できる画期的な試みです 。これにより、全国規模での広告効果の可視化と最適化が進み、テレビCMの価値が再定義される可能性を秘めていますね。 日本テレビが、全国CMをオンラインかつリアルタイムで入札・運用できる新商品「プログラマティックネット(運用型全国CM)」の検証運用を2025年10月より一部番組で開始すると発表しました 。これは、同社が2022年から推進してきた「アドリーチマックスプロジェクト」の一環であり、これまで関東エリアに限定されていた取り組みを全国規模へと拡張するものです 。 この新システムでは、視聴実績(毎分視聴率)に基づいたインプレッション数に応じて課金され、より合理的で効果的な広告運用が実現します 。また、放送直前での入札・落札も可能となるため、視聴者の関心やトレンド、天候といった状況に合わせた最適なクリエイティブ選定と放送が可能になります 。これにより、テレビCMの持つ広範なリーチと高い認知効果 に加えて、デジタル広告のような柔軟性と効果測定が期待でき、今後のテレビ広告のあり方を大きく変える可能性を秘めています。  

CGCGスタジオが「ABCオプテラスタジオ」へ社名変更!

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【ディンコの一言】  朝日放送グループのCGCGスタジオが「ABCオプテラスタジオ」に社名変更 。これは単なる名称変更ではなく、朝日放送グループとしての一体感を高め、CG映像制作における「最適化」と「仕立てる」プロフェッショナル集団としてのブランディング強化が狙いですね 。グローバル展開も視野に入れている点が、今後の映像業界の新たな動きを感じさせます 。 朝日放送グループホールディングスの子会社であるCGCGスタジオ株式会社が、2025年9月1日付けで「ABCオプテラスタジオ株式会社」に社名を変更すると発表しました 。これは、2023年12月の朝日放送グループ入り を機に、リブランディングの一環として行われるものです。新社名「オプテラ(OPTAILOR)」は、「Optimize(最適化)」と「Tailor(仕立て屋)」を組み合わせた造語で 、「クライアントの想いを最適化し、高いクオリティで映像を仕立てる」という新たな会社理念を体現しています 。 今回の社名変更は、CG映像制作における専門性をさらに高めると同時に、朝日放送グループとしてのシナジーを最大化し、国内外での事業拡大を目指す意図があります 。これまでも3DCG映像制作やモーションキャプチャーなど高水準な技術力で実績を上げてきた同社 が、新体制のもとどのような「心を動かすコンテンツ」を生み出し、映像業界に新たな風を吹き込むのか、期待が高まります 。

【KTV】8Kショートフィルム「Beginning」が示すテレビの未来

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【ディンコの一言】 カンテレの挑戦は、高精細映像が単なる技術デモでなく、物語を深く伝える力を持つことを証明。映画祭選出は、放送局がコンテンツクリエイターとして国際的に評価される新時代の幕開けを感じさせます。 関西テレビが制作した8K/HDRショートフィルム「Beginning」が札幌国際短編映画祭のオフィシャルセレクションに選出されました。これは、放送局が持つ制作ノウハウと最先端技術が融合し、映画という表現領域で新たな価値を生み出した好例と言えるでしょう。 海外ではNetflixやAmazon Prime Videoといった配信プラットフォームが積極的に高画質コンテンツを制作し、国際的な映画賞レースにも食い込んでいます。カンテレの今回の取り組みは、日本の放送局も同様に、高精細映像を武器に世界へ打って出る可能性を示唆しています。単なる技術展示に留まらず、物語性を持つ作品が評価されたことは、8K/HDRが視聴体験を革新する強力なツールであることを改めて印象付けました。今後、テレビ局がコンテンツメーカーとしてどのような進化を遂げるのか、大いに注目したいですね。  

ポイントカードがTVer広告を"激変"させる理由

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【ディンコの一言】 Pontaの購買データを活用したターゲティング配信サービスが2025年8月5日に開始されたが、これは単なる広告の高度化ではない。日本独特のポイント経済圏とストリーミング広告の融合により、米国でAmazon Prime Videoが月平均1億1,500万人の視聴者に広告配信している手法を、より精密な「購買予測」で上回る可能性を秘めている。リアル店舗での購買データを持つTVer広告は、海外勢が真似できない独自性を武器に、映像配信業界の覇権争いで日本企業が反撃する契機となりそうだ。 「結局、TVの広告って効いてるの?」 そんなマーケターの永遠の悩みに、ついに明確な答えが出る時代が来た。TVerとロイヤリティマーケティングが始めた新サービスは、まさにその"聖杯"を狙い撃ちしたものだ。 従来のテレビ広告では「認知は上がったが、売上への影響は測定できない」という課題が付きまとっていた。しかし今回の連携により、TVer広告の配信によって実際に広告接触者がどの程度リアル店舗で対象商品を購買したのかを計測できるようになる。これは単なる技術革新ではなく、日本の広告業界にとって歴史的な転換点といえるだろう。 Pontaは1億人超の会員データ分析を武器に、リアル購買データやライフスタイルデータ、価値観データまで活用したターゲティングを実現する。一方で、海外の競合はどうか?Amazonの広告入りPrime Videoは全米だけで月平均1億1,500万人を超える視聴者数を誇るが、日本のように「ポイントカードと購買履歴」というリアルな行動データとの連携はまだ限定的だ。 実際、2022年11月にNetflixが独自の広告付きプランを開始し、Amazonも2024年1月にPrime Videoで同様の発表を行ったものの、両社とも視聴履歴ベースのターゲティングが主流。日本企業が持つ「実店舗での購買データ」という圧倒的なアドバンテージを活かせていない。 ここで興味深いのは、日本特有の"ポイント経済圏"の存在だ。Pontaのような共通ポイントサービスは、コンビニから家電量販店まで幅広い業態をカバーしており、消費者の行動を網羅的に把握できる。この点で、Amazon のEコマースデータとは異なる「リアル店舗中心」の購買パターンを捉えられ...

【U-NEXT】「配信覇権」狙う卓球への長期投資戦略の深謀

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【ディンコの一言】 U-NEXTとテレビ東京が2028年まで約3年半にわたり卓球国際大会を配信するこの提携は、単なるスポーツコンテンツ拡充を超えた戦略的な意味を持つ。日本の卓球界が史上最強と言われる現在のタイミングで、"ニッチスポーツの独占配信権"を長期確保することで、U-NEXTは配信プラットフォーム間の差別化を図る高度な戦略を展開している。海外ではWTTが自社配信に力を入れる中、国内市場における独占的地位を築く意図が明確に読み取れる。 動画配信サービスの競争が激化する中、U-NEXTがテレビ東京と組んで卓球の国際大会配信に本格参入するというニュースは、一見地味に見えて実は業界の構造変化を象徴する重要な動きだ。 「ニッチスポーツ独占」という新戦略 背景にあるのは、NetflixやAmazon Prime Videoといった海外勢の圧倒的な資金力に対抗するため、国内プラットフォームが取る「垂直統合戦略」の典型例だ。テレビ東京が20年以上にわたり「世界卓球」を放送してきた実績と、U-NEXTが2022年より本格的にスポーツのライブ配信をスタートした経験を組み合わせることで、他社が簡単に真似できない「専門性」を武器にしている。 海外ではESPN+(米国)やDiscovery+(欧州)などが卓球配信を手がけているが、いずれも総合スポーツプラットフォームの一部として扱われている。一方、今回の日本の取り組みは、張本智和が世界ランク4位、張本美和が7位など日本選手の実力向上というタイミングを狙い撃ちした「コンテンツ・マーケット・フィット」の好例と言える。 配信プラットフォームの「コア視聴者獲得戦略」 興味深いのは、U-NEXT会員なら追加料金なしで視聴可能という料金体系だ。これは単純な収益追求ではなく、「卓球ファンという熱狂的なコア層を囲い込み、彼らを通じて周辺層にリーチする」戦略を示している。 コアな卓球ファンはもちろん、世界卓球やオリンピックをきっかけに卓球に興味を持ったライト層の方々にも最適という表現からも分かるように、U-NEXTは「ファンの段階別育成」を意識している。これは従来のマス向けアプローチとは真逆の発想で、まずコアファンを満足させることで口コミ効果を狙う「インフルエンサー・マーケティング的アプローチ」だ。 2028年福岡...

映画祭がWeb3.0で大変革 NFTウォレット自動発行で始まる新時代

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【ディンコの一言】 アカデミー賞公認映画祭のWeb3.0対応は、単なる技術導入ではない。応募クリエイターにはデジタルウォレットが自動的に付与され、NFT投票やコンテンツ売買ができるマーケット参加が可能となるシステムは、映画業界における権利管理と収益分配の根本的な変革を意味する。これまで製作会社や配給会社が握っていた利益の流れを、クリエイター自身がコントロールできる時代への扉が開かれた。映画祭を起点としたDAO(分散型自律組織)コミュニティの形成は、日本発の新しい映像文化創造モデルとして世界に影響を与える可能性が高い。 映画祭初、Web3.0完全対応の衝撃 米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」は、2025年8月1日(金)より、2026年度の開催に向けたショートフィルム作品の募集を開始したが、今回の発表で最も注目すべきは技術革新の側面だ。 従来の映画祭応募システムとは一線を画し、ビジュアルボイスが運営するショートフィルムを中心にコンテンツ・データアセットマネジメントができる権利管理プラットフォーム「LIFE LOG BOX(LLB)」を通じて行われ、応募クリエイターには、プラットフォーム上で展開予定のNFT投票やコンテンツ売買ができるマーケット参加が可能となるデジタルウォレットが自動的に付与される仕組みを構築した。これは日本の映画祭として初の試みであり、世界的にも極めて先進的な取り組みと言える。 海外事例との比較で見える独自性 海外では写真家で映画製作者でもあるジュリー・パチーノ(Julie Pacin)氏が、型破りな映画『I Live Here Now』の資金調達で困難に直面した際、NFT発行を通じて資金を賄うことを決意し、NFTで映画の全資金を調達したのはパチーノ氏が初めてだったという事例があるものの、これは個別のプロジェクトレベルでの取り組みだった。 一方、SSFF & ASIAのアプローチは映画祭全体のエコシステムをWeb3.0化する包括的なものだ。ブロックチェーン市場も、2030年までには58兆円の規模に成長すると見込まれている中で、映画祭という文化的プラットフォームが先行してWeb3.0に対応することの意義は大きい。 DAOコミュニティが生...

【仙台放送】脳トレ技術が高齢者運転に光明をもたらす

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【ディンコの一言】 「運転寿命の延伸」というキーワードに、地方テレビ局の独自技術が絡む今回の取り組み。これは単なる高齢者対策を超えて、超高齢社会におけるメディア企業の新たな存在価値を示す象徴的な事例だ。シンガポールの強制返納制度に対し、日本が選んだのは「能力向上」路線—この差異が日本の社会基盤に与える影響は計り知れない。 「もう車の運転は心配だなあ...でも地方では手放せないし」そんな高齢者家族の悩み、どこの県でも聞こえてくる切実な声ですよね。 今回、地方メディアの知られざる技術力が、この社会課題にアプローチする興味深い動きが見えてきました。株式会社仙台放送と一般財団法人京都府交通安全協会が2025年7月31日に発表した連携事業では、「運転技能向上トレーニングBTOC(ビートック)」を、一般財団法人京都府交通安全協会が実施する「ドラともプロジェクト研修会」に提供し、高齢者の社会的リスクの低減に着目した運転寿命延伸事業で活用すると発表されています。 脳科学とテレビ番組の融合が生んだ技術 この「BTOC」、実は地方テレビ局が開発したとは思えないほど本格的な技術なんです。東北大学加齢医学研究所・川島隆太教授による脳科学研究の成果と仙台放送が開発・放送している脳のトレーニング番組『川島隆太教授のテレビいきいき脳体操』の知見から開発されたもので、特許も取得済み。 川島教授によると、「ドライバーの事故は、脳科学の観点からすると、脳機能の低下、主に大脳の前頭前野の知覚、予測の力が落ちることが原因」であり、前頭前野のトレーニングが運転能力全般の向上につながるという理論的背景があります。 興味深いのは、2021年4月からAI機能を搭載し、個々のトレーニング状況をAIが解析し、プレイヤー毎に最適なトレーニングへ調整する機能を拡張している点。単なるゲームアプリではなく、個人最適化された医療レベルの介入システムに進化しているわけです。 海外との対照的なアプローチ この取り組みが特に注目に値するのは、海外の高齢ドライバー対策と比較した時の日本独自性です。例えば、シンガポールでは65歳で一律に運転免許の再試験を義務付け、合格しなければ強制返納という厳格な制度を採用しています。一方、アメリカのAAA(アメリカ自動車協会)のサイトでは「長く安全に運転してもらう」という目的の一方...